保守主義の哲学シリーズ‐‐‐バーク保守主義、ベンサム理論を抹殺す‐‐‐その弐(補足)

 保守主義の哲学シリーズ‐‐‐バーク保守主義、ベンサム理論を抹殺す‐‐‐その弐 について、下記の下線部を補足意味を明確に)します。

※3「人民」について

 共産主義国での「人民」とは、個々の個人としての人民ではない。それは、一つの全体としての「人民」のことである。これらの国で、特定の個人を指す時は「分子」という。「中華人民共和国」や「朝鮮民主主義人民共和国」でよく聞く、「反乱分子」の「分子」である。

 そして、人民民主主義国家とは、「一つの全体としての人民からなる人民主権国家」つまり、「ルソーの絶対者による人民主権国家」のことである。中国では絶対者=中国共産党と国家主席(胡錦濤)、北朝鮮では絶対者=朝鮮労働党と国家主席(金正日)である。

 なお、関連して、日本国民のほとんどすべてが誤解している点について補足しておく。

 それはアメリカ合衆国(米国)についてである。

 まず、第一に米国憲法に人民主権国民主権の概念は一切ない。米国国民の多くも「国民主権」などという概念にいささかの関心もないし、言葉自体知らない人が多い。

 なぜなら、米国憲法起草者は、デモクラシー(日本では民主主義と訳されているが、本来はデモス(民衆)のクラシー(政治参加制度)という意味で、人民主権という「主権」概念ではない。)による、立法(議会)権力の暴走=権力乱用を懸念し、それをいかに制限するかに腐心し、これが、米国憲法の「立憲主義」の目的となったからである。

 そのような、立憲主義」の下では「主権」=「いかなる制限も受けない絶対権力」など存在しえないからである。あらゆる権力、大統領の権力でさえ、憲法に制限される、従わなければならないのである。

 第二に米国憲法における、例えば前文の「”We the People of the United States, in Order to form a more perfect Union, establish Justice, insure domestic Tranquility, provide for the common defense, promote the general Welfare, and secure the Blessings of Liberty to ourselves and our Posterity, do ordain and establish this Constitution for the United States of America.”」

 を「われら合衆国の人民は、より完全な連邦を形成し、正義を樹立し、国内の平穏を保障し、共同の防衛に備え、一般の福祉を増進し、われらとわれらの子孫のうえに自由のもたらす恵沢を確保する目的をもって、アメリカ合衆国のために、この憲法を制定する。」というふうに「the People」を「人民」と訳すのは意図的な意訳誤訳である。米国民にとって「the People」を「米国籍のある国民」という意味が常識であり、さらにいえば、「愛国心ある国民」という意味すらあるくらいである。これが歴然とした事実である。

 とするならば、あのエイブラハム・リンカーン大統領の名句「"government of the people, by the people, for the people"」は「国民の(で構成される)国民による国民のための政治」と訳されなければ誤訳である。国民とは言うまでもなく「米国籍を持った米国民」である。

 なお、of the peopleを「国民から発した」とする訳があるが、これは国民主権を匂わせる誤訳である。米国に国民主権の概念はないから、「国民で構成される」とか「国民から選ばれた代表者である国民からなる」と訳されるべきである。間接代議制を意味しているものである。

補足)➡以上及び、米国憲法解説書である、『ザ・フェデラリスト』(A.ハミルトン/J.ジェイ/J.マディソン、1788年)の趣旨を踏まえれば、リンカーンの「"government of the people, by the people, for the people"の的確な邦訳は「米国籍を持つ国民のために、米国籍を持つ国民によって選出された、代表者である米国民から構成される政府(政治)」となる。

 それを日本では「人民人民による人民のための政治」と誤訳(私は意図的な意訳だと思うが)して教えている。これは私の考えでは、「独立戦争」と「アメリカ建国」を「アメリカ独立革命」と名付けて、「フランス革命」と混同させ、どちらも「革命」によって、「人民主権の国家として誕生した国家である」同一視させるための、日本の憲法学者・政治学者等の日本国民への詐欺的捏造行為と思われる。

 先にも述べたように、アメリカ共和制は「立憲主義国家であり「人民主権」などさらさら存在しない。一方、フランス革命によるフランス共和国は「人民主権」の国家であり、「立憲主義」などさらさら存在しなかった。フランス革命では「憲法」は制定されたが2年も持たずに廃止された。その後ジャコバン憲法が制定されたが結局施行されなかった。「無憲法状態であった」のである。この意味で共和制米国とフランス共和国は水と油の全く正反対の国家である。これが、真実である。

 ノーベル経済学賞受賞者で政治哲学者のハイエクも次のように述べている。

 ハイエク曰く、

多くの点で、フランス革命は、アメリカの革命によって鼓舞されたとはいえ、後者 の主要な成果――立法の権力に制約を課す憲法――であったものを決して達成しなかった

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