スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

保守主義の哲学シリーズⅡ-4‐‐‐「米国保守主義の父」アレクサンダー・ハミルトンの哲学と米国憲法


「米国保守主義の父」アレクサンダー・ハミルトンの哲学と米国憲法(その4)


(2)米国を創った「バーク以上の天才、ハミルトン」(アクトン卿)

 「保守主義の父」は英国のエドマンド・バークであるが、このバークに匹敵する保守主義の哲人は、米国のアレクサンダー・ハミルトンだけしかいない。そして両者共通の「保守主義の祖」は英国のエドワード・コークである。

 近代保守主義の哲学は、バーク哲学ハミルトン哲学に二分される。

 バークを尊敬すること十九世紀を通じて英国随一であったアクトン卿は、ハミルトンについて、次のように述べている。

 アクトン卿曰く、

 「米国という偉大な政治社会(国家)を創造していくその指導力において、《天才》ハミルトンに匹敵する哲人はいない。バークやモンテスキューも及ぶまい。また、この新生国家の初期の成長をあれほどに見事に育て上げたその聡明さにおいて、ハミルトンに及ぶとは思えない

 そのとおりであって、ハミルトンを知らずして今日の米国も理解することはできないと言いきれるのは、ハミルトンこそ建国に当たって米国を“設計”し、“製作”し、“運転”した人物だからである。

 もちろん、ハミルトンの米国の“設計”とは、デカルト「設計主義的合理(数学的な合理性に基づく人間理性)」に基づく「設計」ではなく、英国のコーク/ブラックストーンを継承する「英国保守主義の“法思想”“コモン・ロー”“法の支配”に基づく過去の相続」を根幹とする“設計”であるが故に、二百年を経て、今日の米国がハミルトンの計画どおりの超大国として発展しつづけているのである。

 さて、ハミルトンの天才性を知るには、建国後の二百年を経た米国と今日のフランスや英国を比較すればよい。

 建国当時「英仏の十分の一の小国」にすぎなかった米国は、今日では英仏に対して経済力で数倍、軍事力では数百倍の超大国となった。ハミルトンの天才性は、その政治哲学だけでなく、新生国家の国づくりにも存分に発揮されたことになる。

 ハミルトンの政治哲学の功績の一つは、その統治機構論(憲法原理)において世界史的な偉業を残したことであろう。

 バークは英国に古来から現存する英国の“国体”=“法/コモン・ロー”を保守する精神と論理を大成したが、ハミルトンは英国の“国体”を参考にしつつもそこから米国の“新しい国体”=“憲法/準コ・モンロー”を創造するという偉業をなした

 米国には、英国のような、君主(国王)が不在であり、貴族も不在であった。

 つまり、「王なし、貴族なし」という「不利な条件」下で英国以上に“自由”が顕現された、かつ未来に永続する生命源豊かな新生国家を創ったのである。

 さて、読者の皆さんは「王なし、貴族なし」が“自由”にとって「不利な条件」と聞いて、「本当か、なぜ???」と思われる方が大多数であろう。

 その理由は、次の思い込み、つまり、「君主制や貴族制」は必ず絶対君主制や貴族専制を生じせしめて国民の“生命・自由・道徳・財産”を圧搾し「デモクラシー(直接民主政《以下、民主政と呼ぶ》と間接民主政《以下、共和政と呼ぶ》)」は必ず民衆の“生命・自由・道徳・財産”を擁護する、という「間違った思い込み=固定観念」を義務教育課程から徹底教育(いわば洗脳)されているからである。

 最初に結論から述べると、両者いずれの政治形体でも、“法=コモン・ローによる支配”あるいは“立憲主義”という、政治権力への強力な箍(たが)をはめない限り、暴政的な専制政治に至る可能性が非常に大きい、これが「あらゆる時代のあらゆる国家に共通する政治の基本原理」である、ということである。

 つまり、暴政的な専制政治に陥るかどうかの臨界点は、その政体が何であるかよりも、その政体下で“法の支配”あるいは“立憲主義”が安定的に確立しているか否かによるところの方が大きいのである。

 この基本原理を研究し尽くした上で、暴政的専制政治を完全に抑制、封殺するために創造されたのが、米国建国の父ら天才エリート集団が英国コモン・ローの叡智の集積から原理を発見し精密に組み立てられた米国憲法であり、立憲主義国家である米国(アメリカ合衆国)なのである。

 今、私が、述べたような米国憲法と米国建国における「建国の父たち」の「恐るべき天才性」は、米国憲法の解説書(義解書)『ザ・フェデラリスト』を一読しただけで、十二分に実感できるだろう。

 ぜひ皆さんも読まれることを奨める内容は非常に内容豊富で濃厚であるが読みやすい書物である)。

 この解説書(義解書)は、明治憲法の起草リーダーであった伊藤博文が座右の書にしていた書物でもあるから、特に、保守政治家を目指す人には必読の書である

 米国を未来永劫、自由と道徳が絶えることなく豊かに繁栄するような国家にするため、つまり米国民が子々孫々まで自由と道徳と豊かな繁栄を享受し、それを圧殺する暴政的専制政府を持ち得ないように熟慮された米国憲法を起草した「建国の父たち」は、まさしく「真正の米国保守主義者たち」であったと言えるだろう

 ここでは、少し長文となるが、歴史上に存在した「君主制、貴族制及びデモクラシー(民主政と共和制)の実態」についての考察をハミルトンらの『ザ・フェデラリスト』、ウォルター・バジョットの『英国憲政論』からの引用で紹介する。

 なお、この『英国憲政論』も政治家を目指す人には必読書である。

 まず、『ザ・フェデラリスト』から。

 「強固にして効率的な政府を熱望する一見厳しい外見よりも、むしろ人民(=米国憲法及び連邦政府成立前の論文であるから国民でなく人民と訳す)の諸権利を標榜するもっともらしい仮面の影に、かえって危険な野心が潜んでいる

 「歴史が教えるところでは、後者(人民の味方といった仮面)のほうが、前者(強固な政府権力)よりも、専制主義を導入するのにより確実な道であった。そして共和国の自由を転覆するにいたった人々の大多数は、その政治的経歴を人民への追従から始めている。すなわち、煽動者たることから始まり、専制者として終わっているのである」(第一篇 序論より

 「強固な連邦は、国内の内紛や暴動に対する防壁として各邦の治安と自由にとってこのうえない重要なものとなるであろう。ギリシャとイタリアの小共和国の歴史は、それらが絶えず分裂へと掻き立てられ、頻発する革命により、専制と無秩序という両極端のあいだを絶え間なく行ったり戻ったりしていた  「たとえ、それらの共和国に時として訪れる幸運の時期を目にしても、その喜ばしい光景は、ほどなく、煽動や党派の対立という荒波に壊滅されてしまう」「モンテスキューの提言は、・・・民主政のおよぶ範囲を拡大し、君主制の利点と共和制の利点とを調和させるための方法として、連合共和国を好意的に捉えている」  「(モンテスキュー)は、もし、人間が、共和政体のもつ対内的な利点のすべてと君主政体のもつ対外的な力とを兼ね備えているようなある種の国政を考えつかなかったらば、人間は、結局(君主制であれ、共和政であれ)あるひとりの人物の統治の下に常に生きざるを得ないでいた・・・わたしが述べているのは、連合共和国のことである」 第九編 連邦共和国の利点より 

ハミルトン保守主義は、次回Ⅱ-5へ続く


スポンサーサイト

テーマ : エドマンド・バーク保守主義
ジャンル : 政治・経済

コメント

Secret

プロフィール

バーク保守主義(広報部)

Author:バーク保守主義(広報部)
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。