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保守主義の哲学---自由貿易の促進は日本国を亡国に導くのか。

 フリードマン曰く、


 
経済学者たちはしばしば意見を異にする。


 しかしこのことは、国際貿易に関しては、まったく正しくない


 アダム・スミス以来、他の問題に関してのイデオロギー上の立場がどんなものであったにしても、自由な国際貿易こそが通商国だけでなく世界全体のためにとって最善の利益になるという点に関しては、すべての経済学者が事実上の完全一致をみせてきた


 ところが関税はいまやありふれたものとなってしまった。


 以上(
MRフリードマン『選択の自由』、日本経済新聞社、6566


 
ハイエク曰く、


 市場や原資源を求める自由な競争(
→WTOTPPなどの自由貿易に関するルールの下での自由競争)に代えて、国家なり組織集団なりの間での交渉(ケース・バイ・ケースによる国家間での政府交渉)ので事を処理していけば、国際摩擦は減少するだろう、というのは最も致命的に危険な幻想の一つでしかない


 自由競争制度の「闘争」というのは、抽象的な表現にすぎず、逆に国家なり集団間の「交渉」というのは実はそれぞれの(国家・政府の政治的な)力比べなのだが、この主張は前者(=形成されたルールの下での自由な競争)に代えて後者
国家・政府の政治力学)を用いよと主張しているのである。


 そして、(自由な競争においては)力に訴えることなく解決できる諸個人間競合関係であったものを、上位の法(=国際法・国際慣習など)に従う必要のない、強力で軍事力を持った国家間の闘争へと変えようとしているのである。


 以上(ハイエク『隷属への道』、春秋社、
305


 読者の皆様、
A Merry Christmas!


 本日の夜明け頃には、子供たちの喜ぶ笑顔が日本国中(東日本の被災者の家族の子供たちにも必ず…)に溢れることを祈っております!


 
読者の皆さまには、いつも〔=ブログ作成者〕の稚拙な小論をお読み頂き、深く御礼申し上げます。


 さて、今回は「
TPP(=環太平洋戦略的経済連携協定)交渉への日本国の参加の是非に関する問題(以下「TPP交渉参加問題」と略す)について、〔=ブログ作成者〕の意見を少しだけ述べたいと思う。


 
TPP交渉参加問題に関しては、他の政策においては明確に反日・極左である野田民主党が参加を表明し、自由民主党(自民党)の国会議員が参加撤回を求めたり、あるいは参加反対に回ったりという奇妙奇天烈な現象が生じたのは記憶に新しい。


 社民党、日本共産党が自由貿易協定である
TPP(=中共、ロシア抜き)への交渉参加に反対するのは、イデオロギー上至極当然の行動であるからここでの議論では無視する。


 また、巷では「
TPP交渉参加は日本国を亡国に導くのだ!!」という「自由貿易亡国論」とも言うべき暴論が喧伝されている。


 だが、このような日本国の自称、政治・経済専門家らの語る「自由貿易亡国論」は、冒頭の
M・フリードマンやFA・ハイエクなどの主張の引用にある通り、世界一流の経済学者の概ねすべてが合意する経済学的な結論と真逆の関係であって、容易に信じる訳にはいかない。


 そこで当然、世界の経済学者らが一致して唱える、自由貿易に関する国富論(あるいは、世界の諸国民の富論)の経済学の理論的根拠は何なのか?を知りたくなるだろう。


 
今回は、Macro経済学の幾つかのモデルの分析から既に得られている結論、つまり世界の概ねすべての経済学者らが合意している理論的結論を列記した。


 ここでは紙幅の都合上、各モデルの分析手法や分析過程の解説などはすべて省略し、モデルの前提条件とモデル分析から得られている既知の結論(経済学的知見)のみを記述した。


 ※下記のモデル分析の詳細内容を理解したい読者の皆様及び日本国民は、各々、マクロ経済学の理論を体系的に学んで頂くしかないだろう。ここでは、ひとまず「結論の意味すること」だけを理解して頂きたいと思う。


 (1)
Macro経済学における「長期小国開放経済モデル」分析の結論


 条件:長期、小国開放経済、実質利子率r=r
*(所与の世界利子率)


 結論:保護主義的な貿易政策
――関税・輸入割当(輸入量制限)――は純輸出(貿易収支)を変化させない(=増大させない)。


 つまり、保護主義的な貿易政策は貿易収支に影響を及ぼさない。


 そして重要なことは、保護主義的な貿易政策は、実質為替レートを増価させて、純輸出を一定に保つため、輸出と輸入を共に減少させ貿易量自体を収縮させることである。


 この「貿易量の縮小」という結論が、
M・フリードマンやFA・ハイエクが述べるように「自由な国際貿易こそが通商国だけでなく世界全体のためにとって最善の利益になるという点に関しては、すべての経済学者が事実上の完全一致をみせてきた」というの経済学上の理論的根拠を与えているのである。


 他のモデルについても、経済学上の結論のみを示す。そこでも同様の結論が得られることがわかるであろう。


 
(2)Macro経済学における「長期大国開放経済モデル」分析の結論


 
条件:長期、大国開放経済


 結論:保護主義的な貿易政策
――関税・輸入割当(輸入量制限)――は、実質利子率r、対外純投資を一定に留め、実質為替レートを増価させて、純輸出(貿易収支)を一定に保つ(=増大させない)という結論となる。


 つまり、小国開放モデルと同様に、実質為替レートを増価させて、純輸出を一定に保つため、輸出と輸入を共に減少させ貿易量自体を収縮させる


 
(3)Macro経済学における「マンデル=フレミングモデル」分析の結論


 
条件:短期、小国開放経済、実質利子率r=r
*(所与の世界利子率)、変動為替レート制


 結論
LM曲線は垂直となる(∵ 価格硬直的、r=定数)ため、保護主義的な貿易政策――関税・輸入割当(輸入量制限)――は、名目為替レートを引き上げるが、所得を変化させない(増大させない)。


 また、貿易制限政策(保護政策)は、名目為替レートを引き上げるが、純輸出を一定に保つ(=貿易収支は変化しない)という結論となる。


 つまり、「長期開放経済モデル」と同様に、実質為替レートを増価させて、純輸出を一定に保つため、輸出と輸入を共に減少させ貿易量自体を収縮させる


 
(4)Macro経済学における「マンデル=フレミングモデル」分析の結論


 
条件:短期、大国開放経済、変動為替レート制


 結論:保護主義的な貿易政策
――関税・輸入割当(輸入量制限)――は、純輸出曲線を増大方向(外側)へシフトさせるが、貸付資金市場には何の変化も生じず、実質利子率rは一定に留まり、対外純投資も一定に留まる。


 よって、純輸出曲線のシフトは、名目為替レートを引き上げるが、純輸出を一定に保ち、所得も変化させない


 つまり、「短期、小国開放経済モデル」と同様に、実質為替レートを増価させて、純輸出を一定に保つため、輸出と輸入を共に減少させ貿易量自体を収縮させる


 さらに、次のような興味深い経済学的結論があるので、知っておいても損はないだろう(モデルの前提条件には注意が必要)。


 
(a) 変動為替レート下における、短期小国開放経済モデルマンデル=フレミングモデル)の政府の財政・金融政策効果に関する経済学的結論


  ① 政府の拡張的財政政策(政府購入や減税)の効果


  所得を同じ水準に留める(=所得水準は一定に留まり増大しない)。


  開放経済では、財政拡張による一国の貯蓄の減少が対外純投資の低下をもたらし、名目為替レートの増価をもたらすからである。


  名目為替レートの増価は純輸出を減らし、それが財・サービスの国内需要を相殺する(=拡張的財政政策は所得に影響を与えず、所得は一定に保たれる)。


  ② 中央銀行拡張的金融政策効果


  中央銀行が貨幣供給を増大は、実質貨幣残高の増大を意味する。


  よって名目為替レートは下落し、所得は増大する。


 
(b) 変動為替レート下における、短期大国開放経済モデルマンデル=フレミングモデル)の政府の財政・金融政策効果に関する経済学的結論


  ① 政府の拡張的財政政策(政府購入や減税)の効果


  
IS曲線のシフトが所得水準と実質利子率を増大させ、対外純投資が減少。


  対外純投資の減少は自国通貨の名目為替レートを増価し、純輸出は低下する。


  短期小国開放経済とは異なり、財政政策が所得を増大させる。


  閉鎖経済では、財政政策の乗数効果は実質利子率の上昇による投資のクラウディング・アウトによって弱められる。


  これに加えて、短期大国開放経済では、実質利子率の上昇によって、対外純投資が低下し、名目為替レートが増加し純輸出が減少することによって、財政政策の効果は確実に弱められる。


  ② 中央銀行拡張的金融政策効果


  
LM曲線のシフトが所得水準を増大させ、実質利子率は下落させる。


  低い実質利子率は、対外純投資を増大させ、名目為替レートが減価して純輸出は増大する。


 結論まとめ


 ◆ 関税や輸入制限などの保護主義的な貿易政策は、純輸出(貿易収支)を変化させない貿易収支に影響を与えない)。


 保護主義的な貿易政策は、貿易量自体を収縮させる。


 ◆ 短期小国開放経済モデル(マンデル
=フレミング・モデル)によれば、政府の拡張的財政政策(政府購入や減税)は国民所得水準を増大させず一定に保つ


 ◆ 短期大国開放経済モデル(マンデル
=フレミング・モデル)によれば、財政政策の効果は、投資のクラウディング・アウトと名目為替レートの増価による純輸出の減少の効果が合わさって、確実に弱められる。


 
〔=ブログ作成者〕の意見


 
◇ 民間資本が主体である自由貿易を否定し、自由貿易の担い手が国家(政府)である、あるいは貿易は国家が管理・統制するものであると勘違いしている自由貿易亡国論者とは、ハイエクが述べているように確信的な経済統制主義者であり、国家間の力の闘争論者であるから、必然として彼らの対外的及び対内的経済・財政政策に関する主張は、自由主義と真逆さまの社会主義・共産主義の論理となるのである。


【平成
231224AM4:00神戸発】


エドマンド・バークを信奉する保守主義者
 

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ジャンル : 政治・経済

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