エドマンド・バーク保守主義に基く『民主党公約完全批判』

民主党の政権公約から、民主党の思想本籍を探る。

  ある政党の公約を批判する時、そのベースに確固たる政治哲学がなければ、それは、単なる感情論的批判合戦となる。ある政党のある政策に批判を加える時には、同時に批判の根拠となる自己の政治思想・哲学を示さなければ、批判の正当性に欠けるし、その批判だけが感情的に暴走する。

  ここでは、エドマンド・バーク保守主義をベースとして、民主党の政策マニフェストの思想本籍を探ってみる。


民主党マニフェストより

 民主党5つの約束

1.国の総予算207兆円を全面組み換え。税金の無駄づかいと天下りを根絶します。議員の世襲と企業団体献金は禁止し、衆院定数を80削減します。

2.中学卒業まで、1人当たり31万2000円の「子ども手当」を支給します。高校は実質無料化し、大学は奨学金を大幅に拡充します。

3.「年金通帳」で消えない年金。年金制度を一元化し、月額7万円の最低保障年金を実現します。後期高齢者医療制度は廃止し、医師の数を1.5倍にします。

4.「地域主権」を確立し、第一歩として、地方の自主財源を大幅に増やします。農業の戸別所得補償制度を創設。高速道路の無料化、郵政事業の抜本見直しで地域を元気にします。

5.中小企業の法人税率を11%に引き下げます。月額10万円の手当つき職業訓練制度により、求職者を支援します。地球温暖化対策を強力に推進し、新産業を育てます。


 まず、この5つのマニフェストザッと眺めて(詳しい中身は全く見ずに)民主党に政権を任せれば日本の未来は明るくなると思った人は、政治音痴あるいは政治無知。これが、責任ある政党の出す政策、本当?とちょっとでも感じた人は正常あるいは、政治的直観力あり。

 


 

 まず、第1番目の公約

 1.①国の総予算207兆円を全面組み換え。②税金の無駄づかいと天下りを根絶します。③議員の世襲と企業団体献金は禁止し、④衆院定数を80削減します。

 ①について、総予算207兆円を全面組み換えとは、一般会計と特別会計の合計をいじくって、特別会計から一般会計への繰り入れを言っているのであろう。 が、そもそも、特別会計とは、特定の歳入(特定の税収・登記印紙などの特定財源、財政投融資資金、特別公債・政府証券など)をもって特定の事業を行なう独立の会計を設けて経理を行うものある。これらの特定事業の中に、明らかに不要な事業があるなら、その特定事業そのものを廃止するだけでよい。

 民主党のくだらない、国民平等主義化政策=社会主義化政策=超バラマキ政策(自民党の定額給付金の一万倍ひどいバラマキ政策)のために、わざわざ一般会計に回す理由はない。民主党は道路特定財源の一般財源化議論の時、ガソリン税を廃止するべきと言っていたではないか。他の特別会計も全く同じことであろう。 それでも、特別会計の不要な余剰金を一般会計に回して使いたいというなら、860兆円ある国の借金返済に充てることを第一目的にしないといけないのではないか?それが、未来の子々孫々の国民に対するわれわれ現世代の最大の義務ではないか?であるのに、借金については一切触れない。隠す。

 バーク保守主義においては、このように、戦後世代が、たった60数年でつくった国の巨額の借金860兆円があるのに、あたかも無いかのように隠しておいて、特別会計をいじくれば、日本国の未来は明るくなるかのような錯覚を与える未来主義・進歩主義的な、極めて無責任な主張は、絶対に許さない。われわれ現世代の、過去の祖先および未来の子孫に対する責任の放棄、義務の放棄の最たるものだからである。

  ②については、大いに努力してほしいが、無駄を省いて浮いた予算は、歳出を減らすためにカットするか、使い方に上記の点留意してもらいたい。

  ③議員の世襲の禁止について一言。 バーク保守主義においては「世襲の原理」を非常に大切にする。この、世襲の原理によって“法”や“自由”や”伝統”が子孫に相続され、それらは、この相続の繰り返しによってのみ、より高度なそれへと昇華すると考えるからである。

 例えば「天皇は万世一系であり、世襲による時効」である。「時効」とは、日本国が二千年の歴史において万世一系(男系男子)の天皇を奉戴してきたことにおいて、天皇の正統性は築かれ、永遠にこの原理が適用されるということである。この地位は「主権の存する日本国民の総意」でも変更できないということである。

 なぜなら、この憲法第一条が「憲法違反の条文」だからである。憲法第一条は、「㋐天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、㋑この地位は主権の存する日本国民の総意に基く」とあるが、日本国はこの日本国憲法を施行した時点から「立憲主義」に立っているはずである。「立憲主義」とはあらゆる権力(王の権力も、天皇の権力も、教会の権力も、国民・人民の権力も、すべて)は憲法の制限を受ける、つまり“法の支配”によって制限されるということである。

 であるのに、第一条後半㋑の部分に「主権」の概念がでてくる。「主権」とはあらゆるものに制限されない絶対権力のことであるから、「立憲主義」と二律背反・自己矛盾する。つまり、立憲主義の憲法に立憲主義と背反する「主権」を条文として入れること自体が自己矛盾で、日本が立憲主義である以上、第一条㋐の部分は憲法に権力を制限された君主制を述べているから合憲、㋑の部分は憲法に権力を制限されない「主権」の概念があるので違憲である。立憲主義の下で国民にあるのは「主権」などではなく、憲法に制限された「国民の権利」のみである。

 実際に米国はその憲法起草において、米国保守主義者(英国のエドワード・コーク、ブラックストーンの直系で、直接バークは経由していない。が、バークもコーク、ブラックストーンの系列である)のジョージ・ワシントンやアレクサンダー・ハミルトンらの建国の父たちは「立憲主義」を採用したため、米国憲法には主権の概念は全くない。米国人に「国民主権って知ってる?」と聞いてみなさい。答えは「What is it?(なんですかそれは?)」がほとんどである。

 なお、「立憲主義」および「主権」の定義は私の定義ではなく、バーク保守主義の直系である、ノーベル経済学賞受賞者で政治哲学者のフリードリヒ・ハイエクの定義である。

 おっと、ちょっと脱線しましたが、「世襲の原理」は日本国民はあまり意識していないけれど、われわれの生活はほとんどが「世襲」なんです。

 例えば、「日本語」つまり「国語」これもれっきとした祖先からの世襲です。直接的には両親、祖父母などから世襲されますが、その祖父母もまたその両親・祖父母から・・・・というふうに世襲してきているのです。もっと言えば、奈良時代や平安時代からもタイムスリップして世襲されます。高校や大学で古典を習うでしょう。これによってわれわれは、奈良時代の和歌や平安時代の「源氏物語」や「枕草子」、鎌倉時代の「徒然草」、江戸時代の「奥の細道」などの古典をを原文で読むことができるのです。

 次に、あなた方や両親の持つ「私有財産」、家や土地や預金などすべて、その家族にのみ、相続権があるのは、世襲の原理を認めているからです。「世襲の原理」を国家権力が認めなくなると両親の財産はすべて国家に没収されてしまいます。最後には国民すべての財産が没収国有化され、共産主義国家となります。

 また、“自由”も「世襲の原理」によって享受できます。なぜなら、アフリカの内戦で苦しんでいる国の子どもたちをテレビで、見たことがありますよね。彼らは、自由の文明を世襲していない国に生まれたから、生まれながらに、自由を享受できないのです。私たちが、母親のお腹から、この“自由”の文明国・日本に生まれ出た時から、“自由”なのは、祖先が自由な文明国家を維持し、私たちに引き継いでくれたから、“生まれながらに自由”なのです。だからわれわれも子どもや孫に未来の子々孫々に、“自由”を世襲してあげることが義務なのです。「世襲の原理」「世襲」とはそのようなものです。

  さらに最も大切な、私たちの“生命”、“いのち”です。これこそ両親からの世襲、祖先からの世襲(相続)の継承以外の何ものでもないでしょう。そして私たちから、子や孫へ曾孫へと世襲されていくのです。この繋がりは、われわれが最も大切にしなければならないものでしょう。

 翻って、二世議員の「世襲」と言われているものは、これは「世襲」ではありません。なぜなら、「世襲」というのであれば、親から地盤を引き継いだ時、自動的に議員になれなければなりません。しかし、実際は二世といえども選挙を戦って勝たなければ、議員にはなれません。このようなものは「世襲」とは言いません。たとえ、支持者や後援会などの地盤を受け継いだとしても、二世議員の質が悪ければ支持者もみな離れて行きます。だから、二世議員は大いに切磋琢磨して選挙にでればいいのです。それを禁止するのは、憲法第四十四条「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。ただし、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない」の“法の前の平等”に違反する。

 それを、マスコミは、「世襲」の意味とその重要性を知ってか知らずか(本当は知っている)二世議員=世襲議員として大騒ぎします。そのねらいは「議員」ではなく「世襲」の方なのです。先ほども述べたとおり、日本の世襲の淵源は天皇・皇室、万世一系の男系男子天皇制です。これぞ世襲の中の世襲です。国民に「世襲の原理」に対する悪意を洗脳し、「天皇制廃止」へ向けての煽動なのです。もう一度言います。二世議員は世襲議員とはいえません。マスコミのターゲットは「世襲」という言葉に悪意をもたせるよう国民を煽動しているだけです。それは、「天皇制の廃止」の共産イデオロギーです。

 バーク保守主義のものの見方をすれば、このようなことはすぐ見抜けるようになります。昭和天皇の崩御以来、朝日新聞を中心に、マスコミは、天皇陛下、皇后陛下、皇太子殿下、皇太子妃殿下などの敬称を付けないようにしました。これは、明確な皇室典範違反にあたります。「雅子さま」などは明確な違法行為である。マスコミには自粛をお願いしたい。きちんと敬称をつけなさい。マスコミたるものが平気で違法行為をするとはどういうことか?そして、マスコミはは、「開かれた皇室」などというスローガンで、ごまかしているが、これは天皇・皇室の高貴や美徳や品性などに対する崇敬の感情を国民から奪い取り、国民と同等の視線の高さに天皇・皇室を貶める作戦である。これによって、国民の天皇・皇室に対する崇敬の念は薄らぎ、「天皇制不要論・廃止論」へ誘導しているのである。これは、妄想ではなく、真の保守主義者なら、皆憂えている事実である。

 ④衆院定数を80削減 衆議院定数を80人削減するのに何の意味があるのかよくわからないが、現在の国会で、最も必要なことは参議院の質的再生の方であろう。何を方向音痴なことをいっているのか?

 現在の日本の参議院には、二院制であるという最小限の機能を果たしている以上のものは何もない。衆議院議員になれなかった政治家の二軍キャンプ的な雰囲気がある。しかし、参議院は第二院として、衆議院とともに、国会の任務の半分もしくはそれ以上を担う責任がある。

 このためにも、参議院は第二院の存在意義の原点に立ち返らねばならない。

 イ) デモクラシーの抑制という任務である。思想的にも制度においてもデモクラシーを制限するものでなくてはならない。

 ロ) 国会の枢要な任務の中で第一院(衆議院)が果しえない部分を、参議院こそがそれを中核となって担うということである。

 参考に参議院再生のヒントをあげよう。これができれば、民主党も一流である。が、無理であろう。

 例えば、日本の参議院は、英国型の貴族院とフランス型元老院の折衷型として次のような議員方法が考えられる。

 【フランス型による選出】・・・間接選挙型

 間接選挙によって選出された、四十七都道府県から各三名の計百四十一名をもって参議院議員とする。

 【英国型による選出】・・・旧華族互選型(憲法改正による、旧・公家華族と旧大名華族の復活が前提)

 次に、復活した旧・公家華族の互選で選出される五十名の議員、同じく旧・大名華族の互選による五十名の議員である。

 以上、【フランス型】+【英国型】=【総計二百四十一名】の参議院議員となる。

 フランス型の間接選挙の方式は、県知事及び全地方議員(県、市、町、村)が投票権をもつものとする。一般有権者には投票権を与えない。そして、投票人一人当たりの票数を役職の重要度を考慮して、県知事三十票、県議会議員五票、市町村長五票、市町村議会議員一票などと格差配分する。

 そして、最も根本的なことはこの間接選挙で選出される百四十一名の参議院議員の政治家としての質である。それは高い教養と真正のエリート性が要求されるが、都道府県相互で“選出する議員の質”=“都道府県の名誉”の競争のようなものになれば、日本の参議院は実体において衆議院より優位に立つであろう。

  次に、第2番目の公約

 2.①中学卒業まで、1人当たり31万2000円の「子ども手当」を支給します。②高校は実質無料化し、大学は奨学金を大幅に拡充します。

  ①について、まず、最初にみなさんに知っておいていただきたいこと。ある国の人口が自然増となるか、自然減となるかは、合計特殊出生率が2.08を上回っているか否かで決まる。現在の日本の合計特殊出生率は1.34(2007年値)であり、このままでは、日本の人口は自然減をたどり、将来が危ういこと。

 以上を考慮すれば、民主党公約「子育ての不安をなくし、みんなに教育のチャンスをつくります」(マニフェストに記述あり)とは、女性が安心して出産でき、多子であっても安定した育児・子どもの教育ができる「家族生活」ができる社会のことでなければならない。

 つまり、現在、日本は、村山社会党政権が産んだ“日本の共産革命推進法”である「男女共同参画社会基本法」という「家族解体」制度の下で、「子供を持てば、女性も社会に出て労働しなければならない、働かなければ生活していけない」社会状況を無理やり創りだし、「専業主婦」を選択できない制度になっている。また、両親が働いているから、子供と接する時間も減り、家族の紐帯が薄れて行く。しかも「専業主婦」が“セレブの仕事をしない気楽な人生”であるかのごとく、誤解と倒錯した思想が社会通念として定着しつつある。専業主婦とはそんな気楽なものではない。夫が仕事に出ている間も家に帰ってからも、育児・家事のすべてをこなす最重要の超重労働である。

 「男女共同参画社会」とは、聞こえは良いが、1994年6月24日に設置された「男女共同参画審議会」は、メンバーの過半が共産党系の活動家と全共闘の活動家であり、マルクス・レーニン主義者が三分の二以上を占めていた。つまり、男女共同参画社会基本法とはマルクス・レーニン主義に基づく日本国の「法・伝統・制度」の解体を目指した“共産革命法”なのであり、「家族解体」はソ連のレーニンが最も力をいれた政策である。

 上記のことを合わせると、民主党の所得税の控除見直し(国税の配偶者控除、扶養控除の廃止)によって、1人月額2万6000円の「子ども手当」を支給するというのは、本末転倒の論理である。「家族重視」「専業主婦重視」の配偶者控除を廃止ことは、ますます子供を産み育て、家族を大切にする環境を破壊する強烈な共産イデオロギーである。そして子供を産み育てる環境が破壊され、出生率はますます減少し、子供がいないから、「子ども手当」など当然もらえない、結局、「配偶者控除も子ども手当」も両方とも、もらえなくなる社会を産み出す、最悪の制度改革である。

 まず、「安定した家族の紐帯」「安心して子どもを産み育てられる制度」を土台として確立した上で、子ども手当の創設が、正当な政策順位ではないか?。

 バーク保守主義者の一人である、ハイエクを持ち出すまでもないが、「家族」とは言語、市場、国家、道徳、法などとともに、自然的に成長・発展した「制度」の一つである。家族無しにいかなる文明国家もなかったし、“法”の成長もなかった。「家族」こそが、国民の“自由”をまもる最重要の中間組織であり、“文明国”日本の出発点であった。

  ②について、義務教育は、小学校6年間および中学校3年間と定められている。なぜ、高等学校を無料化する必要があるのか。また、無料化ではなく、実質無料化とはどういう意味か。大学の奨学金を大幅拡充するのは前記の高校無料化と同様国民にはありがたいことであるが、バーク保守主義的には、度を超えたばらまき政策であり、「貧困の平等」政策である。しかもそのようなことが、借金860兆円の破綻寸前のこの国に、現実的にに可能なのか。きわめて疑問である。

 次に、第3番目の公約

 3.「年金通帳」で消えない年金。年金制度を一元化し、月額7万円の最低保障年金を実現します。後期高齢者医療制度は廃止し、医師の数を1.5倍にします。

 まず、今後、「年金通帳で消えない年金をつくる」のは分る(というより当然だ)が、現在までに「消えた年金」をどう処理するのか、全く言及がない。民主党のホームページのQ&Aの動画で、「消えた年金」について、かのミスター年金議員は、現在は社会保険庁は夕方の余った時間に片手間で照合作業をでやっている。やる気が見えない。消えた5000万件のうち民主党の圧力で1000万件の特定ができた。民主党が政権を取ったら国家プロジェクトとしてもっと積極的に取り組むと言っているだけ。いつまでに、どういう方法で、残り4000万件のうちの何パーセントまで照合できる見込みがあるのかには、一切触れていない。結局、照合達成目標も手段も期間も述べていない。これでは政策とは言わない。これで、もし、民主党が政権をとって、残り4000万件の年金照合ができなければ、永久に民主党を信用する国民はいなくなるだろうことを覚悟しておかなければならない。

 それなのに、すでに話を今後の制度設計に進めて、「年金制度を一元化し、月額7万円の最低保障年金を実現します。」と言っている。「所得の低い人には月額7万円の最低保障年金を実現する」という。しかもこの部分は税方式であるという。これは、所得の低い人の年金を平等に扱い、その財源を所得の高い人からの税収で賄うというものであり、「低所得者の平等主義」と「高所得者からの税金の強奪という不平等であり、「平等という名の不平等」である。

 これは、まさにルソー教のドグマそのものであり、危険な思想である。

 「真正自由主義」を根幹思想とするバーク保守主義が最も危険視する「平等主義」=「全体主義(社会主義・共産主義」の教理に基づいている。

 なお、余談であるが、この民主党の三つ目の公約は全体として「福祉国家」を目標とする政策である。 しかし、1945年英国の労働党が初めて政権をとり、「ゆりかごから墓場まで」をスローガンに福祉国家政策と、石炭・鉄道・通信など基幹産業の国有化政策を行い、社会主義(平等化)政策に傾倒した。しかし、結果はこれらの政策によって、英国は、1970年代には「英国病」「ヨーロッパの病人」と呼ばれるほど経済状況が悪化した。これを救ったのが、1979年に誕生した保守党のマーガレット・サッチャー(自らをバークを師と仰ぐ、バーク保守主義=真正自由主義者と自称)首相であった歴史事実があることを忘れてはいけない。

  次に、第4番目の公約

 4.①「地域主権」を確立し、第一歩として、地方の自主財源を大幅に増やします。②農業の戸別所得補償制度を創設。③高速道路の無料化、郵政事業の抜本見直しで地域を元気にします。

 ①について、「地方主権」とはなんですか?先程も述べたとおり、「立憲主義」において「主権」など自己矛盾で存在してはいけない、革命教理である。バーク保守主義では、この「主権」という言葉自体が憲法違反である。

 また、憲法第四十一条「国会は国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」を知らずに国会議員をやっているのではなかろう。地方は国会が定める“法律”に抵触しない範囲で「条例」の制定しかできない。財源の移譲は可能であっても地方独自の“法律”など制定すれば、即、憲法違反である。もし国会が地方に法律制定権を認めるような“立法”をすれば即、違憲立法審査により違憲となる。仮に最高裁判事が狂気の沙汰でそれを「合憲」としても、その法律に基づいて地方自治体が“立法”を行った時点で確実に違憲である。どう解釈しても憲法第四十一条に違反するからである。よって憲法改正議論を伴わない「地方の主権」「地方分権」など議論に値しない。

 また、「地方の自主財源を大幅に増やします」などは寝ぼけた戯言である。

 その理由は、次の事実を知ってもらえば解るであろう。

 そもそも現代の社会において、国民の生活を直撃する社会・経済問題は、金融をはじめ、鳥(豚)インフルエンザや狂牛病の問題、食品の安全問題、食糧・資源問題、環境問題、大規模災害対策であれ、すべて国レベルにおいて一括して解決するしかない。“くらし”の根幹は、水道やゴミや警察(治安)や消防などを除けば、「地方」にはその権限は存在しえない。世界がどんどん狭くなっている以上、地方の行政を逆に独自に存在させることの方が、行政コストを巨大につりあげる。“地方行政を極力簡素にし、残りの大部分は国が責任をもって行政すること”こそ、国民のための二十一世紀の正しい行政と言える。“地方の大リストラ”+“国の責任行政”、これこそが今日本がとるべき経済再生の近道である。

 この意味で、財源や権限の地方への移譲の方が時代と世界各国の現実に逆行している。そもそも、国と都道府県と市町村の行政の関係は、もっと一体化すべき(二重、三重行政を一元化して無駄を省くべき)であって、それなくして行政の効率化は進まないし、行政のコストの削減も望むべくもない。

 民間の子会社は親会社との関係において決して平等でないのと同じく(=親会社が権限や財源を子会社に譲るということなどあり得ないし、親会社が許さないのが常識だろう。)、地方が国との関係において上下関係である方が正常である。それ以外の統治機構などいかなる国家にも存在しない。

 民主党は「国と地方が対等の権限と財源をもつ」という、常軌を逸した国が世界百九十ヶ国の中に一ヶ国でも存在するなら、その国名を挙げ、国民に分かりやすく説明する説明責任があるのではないか。

 昨今の橋本徹大阪府知事の国批判連発の騒動などは、「地方分権推進委員会」の「国家解体」のマルクス・レーニン主義の罠にすっぽりとはまってしまっている典型例である。彼はそれに気づいていない。これがさらにエスカレートしていき、全国へ飛び火していくとすれば、まさに地方分権推進委員会の思うつぼ、“平成の応仁の乱”状態になっていくだろう。地方分権推進委員会が、「国・地方紛争処理委員会」という全く不必要で危険な行政組織を新しく新設したのは(地方自治法第二百五十条第七項)、この最たる証左であろう。

 さて、世界の実情はどうか、ということだが、日本の政治学者は、事実や現実を虚偽をもって歪曲する癖があるものが多い。このため、日本では、外国に関する嘘がつくられ、この嘘が流布して神話となる。世界には地方分権の国家が一ヶ国もないのが事実である。

 米国は、1789年3月、“先に成立していた十三の邦”がその上に“強力な中央政府(+合衆国憲法)をのっけて”誕生した。このとき十三の邦は十三の州へと形式的には格下げされたが、州の統治機構はそれ以前のままであった。米国は十三の邦の上に新しく“国”の中央集権機構をつくったのである。先に成立していた一つの国が権力を十三州に分割した(地方分権した)のではない。ところが、米国は「連邦制だから分権した」などという作り話をを展開する奇怪な学者が大手を振って歩いている。

 ドイツもイタリアも十九世紀後半に中央政府をつくり統一された中央集権国家である。そこには地方分権は、匂いすらない。フランスも1789年のフランス革命時にロベスピエールらが超中央集権国家を創造して以来、中央集権国家である。

 1979年に誕生したサッチャー首相率いる英国も、地方の財源を中央政府に召し上げる方向性を強く打ち出して財政再建に成功したように、財政的に中央集権化を進めるしか窮乏する英国を救う道がないという、常識を政治とした。近代以降の世界には、日本の「地方分権」に類する前例は一つもない。

 また、日本の学界は、歴史と伝統の産物である国家を人為的に手術できる(=改造できる)という、知的傲慢さに自己陶酔している。このため、バーク保守主義者のバジョットらの次のような警告は一顧だにされなくなった。

 バジョット曰く、「古い制度を完全に変更して、よりよいものに替えるべきであるという考えを即座に放棄しなければならない」

 コーク曰く、「裁判官と賢者の智恵は、コモン・ローの価値を下げることになる新しい革新をつぶした。・・・・裁判官は言った、変更されたり革新がもたらされるぐらいなら欠陥のあるままにしていた方がましである」

 ハイエクは、人間が合理的な推論によって改革や革新をしてより有効なものにしようとする思考を、デカルト的な設計主義と名付け、それが社会に対して自己破壊の力をもつことを警告した。伝統・慣習・歴史(時間の経過)によって発展し機能している多くの文明的「制度」は、理性(人間の知力)には限界があるため、数学的に証明されることはない。ところが、明示的(数学的)に説明(証明)のつかないものをすべて捨て去る(例えば、神の存在は理性では証明できない。故に神は存在しない。私は無神論である。)デカルト哲学においては、このような文明的「制度」は当然に排除され、棄てられる。この結果、社会は自然に発展してきた文明的「制度」を失って、機能不全におちいていく。

 日本における、神話というより事実を転倒させた巨大な嘘は、「3割自治」などという言葉があるように、地方がもっと財源をもってよい、地方がもっと自主的に課税し自主的に支出を決定してもよい、という世界のいずこにも存在しない“狂気の地方行政論”において顕著である。道楽息子を、親は無限に甘やかして欲しいだけ“小遣い”を与えるべきだという、その家族の解体を狙った悪魔の囁きの国家版が、日本の「地方行政論」の正体である。

 以上のことは、「地方自治」の母国である英国を参考にすればすぐわかる。英国は日本と違って地方税というものは一つしかなかった。伝統的に地方が自主財源を持つことは可能な限り制限されたからである。この地方税を「レイト(Rate)」といい、土地・建物等に対する課税であった。日本で言う、固定資産税、家屋税に当たる。

 サッチャー首相は、税制改革を行い、「地方税のサービス料金化」と「税制の中央集権化」を行い、今日の英国には地方税というものは、「カウンシルタックス(財産税的な自治体税のこと)」と「レイト(非住居用資産にかかるレイト)」の“二種類”しかない。しかもそれらは中央政府の監督下にある。しかし、日本では地方税は、直接税のみでも次のごとく、何十もある。

 「都道府県民税、事業税、特別所得税、自動車税、鉱区税、狩猟者税、狩猟免許税、市町村民税、固定資産税、自転車荷車税、鉱産税、特別土地保有税、目的税(自動車取得税、軽油取引税、入湯税を除く。)、国税付加税、特別地税、地租、家屋税、営業税、段別税、電柱税、漁業権税、軌道税、電話加入権税、電話税、雑種税(一部)、段別割、個別割、家屋割、扇風機税、屠蓄税、犬税、使用人税、舟税、自転車税、荷車税、金庫税」

 日本の「地方」の課税自主権は、世界の常識において、天文学的に無制限である。日本の地方は、“世界一の道楽息子”である。「これだけの地方自主財源を持ち、それでも足らずの財源を国からの地方交付税で補い、さらに、事業補助金制度で国から多額の補助金を受けているにも関わらず、多額の借金を抱えるに至り、財政再建対策に懸命になるあまり、住民への必要な公共サービスを削減している」のが現在の“地方の実態”である。「地方分権」で地方に権限や財源を移譲したからといって、地方は健全な財政運営を執行できる能力があるのだろうか。現状をみる限り、“全く無い”どころか、“ますます借金を膨らませるだろう”としか予見できない。

 日本が第一にすべきは、第一に地方の自主財政を徹底的にリストラすることである。次に、国の管轄下におくことである。例えば、都道府県民税や市町村民税は廃止して所得税に一本化するのは当然であろう。

 英国では、「地方」の歳入に占める自主財源率はほぼ15%以下である。日本流に言えば、「1.5割自治」である。つまり、歳入の85%は中央政府からの助成金である。そして歳出のベースで見ると、1993~4年度で、地方の歳出は国全体(「地方」+「中央」)の歳出の28.7%である。

 一方、日本は、歳入における地方の自主財源率は、地方分権推進委員会が(1995年の)発足時に参照したであろう1993年度の決算ベースで見ると、37.8%である。「約4割自治」である。地方の自主財源率は、英国の2倍以上もある。 さらに歳出ベースで見ると、「地方」の歳出は国全体(「地方」+「中央」)の歳出の何と65.6%に当たる。家計に例えると、道楽息子の“小遣い”が所得の3分の2におよび、親は残りの3分の1でやり繰りしている、信じがたい家族、それが日本の真実である。

 フランスの地方は、英国よりもっと自主財源が貧弱である。州の財政的独立性の強い米国ですら、多少英国よりましな程度である。

 このように、「自主財源の天国」たる日本の「地方」に、「もっと財源移譲を!」と叫んでいる人々の意図は、それらの人々のほとんどが極左の暴力革命屋で「計画経済」や「計画政治」という超中央集権の信者であることを考えれば、明らかであろう。本心は超中央集権論でありながら、それとは逆の「財源の地方分散」を推進するのは、「地方」という“道楽息子”が財政的に日本を崩壊させることを狙っているからである。“超”中央集権(全体主義体制)論もレーニンやヒトラーでわかるように、究極的には国家の破滅を願望するイデオロギーからつくられている。「“超”中央集権論」も「“超”地方分権論」も多少色の異なる花だが、反国家(反日)という同根から咲いている。

 こうした、真実を民主党は把握しているのか?国民も分って地方分権だの財源移譲だのの世論が正しいと思っているのか?よく考えていただきたい。

 ②農業の戸別所得補償制度を創設

 これについては、私の勉強不足のため、内容がよく理解できないのでコメントを差し控える。しかし、一言だけ。バーク保守主義を信奉する私としては、この政策は、戸別所得保障に味をしめた農家は二度とその特権を手放さないだろう。そしてその特権の要求の行きつく先は農業の国営農場化、ソ連のコルホーズやソフフォーズの幻影が瞼に映る。

 ③高速道路の無料化、郵政事業の抜本見直し

 民主党は、民営化した高速道路株式会社や郵政・郵便等株式会社をを再び「国有化」するという議論もある(マニフェストには「国有化」までは言及なし)。

 民主党は、日本を1970年代の英国にもどすのか?なお、高速道路料金無料化・維持補修費用の財源について、1.3兆円が必要であるとの認識の下、その財源は国土交通省の算出した無料化による経済波及効果7.8兆円を根拠にしている。これまでの高速道路建設に伴う旧道路公団の赤字体質は、高速道路建設計画時における国土交通省のいい加減で楽観的な(というより、費用対効果を1.0以上にするために、意図的に作為したと思われる)将来交通量予測が原因であったのではないのか?脱官僚政治を謳いながらながら、都合の良い部分だけ国土交通省(官僚)のデータを根拠とするのは自己矛盾ではないか。

 郵政事業についても、民営化して郵政関連の会社社員がやっと民間市場での競争に努力し始めたところなのに、早速、見直すのか。抜本的に見直すなら、現在の郵政事業の在り方のどこがどう不具合なのか、だからこう直すのだ、というきちんとした説明責任を果たさなければならない。

  次に、第5番目の公約

 5.①中小企業の法人税率を11%に引き下げます。②月額10万円の手当つき職業訓練制度により、求職者を支援します。③地球温暖化対策を強力に推進し、新産業を育てます。

 ②月額10万円の手当つき職業訓練制度について。このような政策にはばかばかしくてコメントもしたくないが、職業訓練を受ける人間が、なぜ、月額10万円の手当を受ける(もらえる)のか?例えば、車の免許を取るのに自動車学校で訓練を受ける時、われわれは、自動車学校に授業料を支払うはずである。職業訓練(授業)を受けるのに手当が受け取れるのか?職業訓練という特殊性を考えても、せいぜい授業料無料、そこまでが限界であろう。弱者を救済することは悪いとは言わないが、それを主目的にするがために、自由主義経済の経済原理を完全に転倒させるなど、狂気の沙汰である。

  ③地球温暖化対策を強力に推進し、新産業を育てます。 地球温暖化対策を強力に推進するのは良いが、CO2対策にあまり力を入れすぎると、痛い目にあうことも忘れずに。実際に京都議定書で定めた削減目標も達成できる見込みがほとんどない状況である。企業の省エネ対策・環境対策の技術進歩にも限界がある。国家が高い目標を世界に宣言すれば、苦しむのは国内産業である。国家(政治)が独走して、強力に推進すれば良いというものではない。国益を第一に考えるべきである。

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